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カテゴリ:ココログ掲載分1のエントリー一覧

  • 内田樹●日本辺境論

    日本人が国際社会で侮られているというのがほんとうだとしたら(政治家やメディアはそう言います)、その理由は軍事力に乏しいことでも、金がないことでも、英語ができないことでもありません。 そうではなくて、自分がどうしてこのようなものになり、これからどうしたいのかを「自分の言葉」で言うことができないからです。 国民ひとりひとりが、国家について国民について、持ち重りのする、厚みや奥行きのある「自分の意見」を持...

  • ノンフィクション100選★忘れられた日本人|宮本常一

    話してええかのう。あんたほんとに女にほれたことがありなさるか。まえをなめたことがありなさるか。 わしゃァ、この話はいままでだれにもしたことはないんじゃ。 死ぬるまで話すまいと思うておった。あの人にすまんで……。 人に話されんような話がわしにもあるかって? あるくらいな。しかしの、わしが死んでしもうたらだれも知らずじまいじゃ、八十すぎの盲人が話したからって、もう罪になる人もあるまい。 わしは庄屋のおかた(...

  • 久田恵●家族がいてもいなくても

    「あんたは、誰なんだ?」おやつのヨーグルトをスプーンで口元に運んでいたら、九十二歳の父がふいに言った。〔…〕 父の頭の中で、きっと私は、時々迷子になるのだろう。誰だろう、誰だろう、と思って、父は父でもどかしくなって、この日、思わず聞いたのだろう。「あんたは、誰?」〔…〕 そういえば、先日は、とある人からも切々とした問い合わせの手紙をもらった。 「あなたは、誰ですか? 私の人生にどんなかかわりがあった方...

  • 上田 賢一●上海ブギウギ1945――服部良一の冒険

    旅の途中の杭州で、世界で一番美しい湖といわれる西湖に船を浮かべて、服部さんは即興でサックスを吹いた。服部さんはそれまで、東洋の五音階ではなく、西洋の七音階を使って、「東洋の曲」を作りたいと思っていたが、なかなかうまくいかなかった。 だが、西湖に来てみると、そんな曲が自然に浮かび、ボートの上でひとりひそかに快哉を叫んだ。 「それがぼくの『蘇州夜曲』です。ぼくは、アメリカのジャズの物真似ではない、日本の...

  • 村上春樹●神の子どもたちはみな踊る

    「三宅さんって、どんな絵を描いているの?」「それを説明するのはすごくむずかしい」 順子は質問を変えた。「じゃあ、いちばん最近はどんな絵を描いた?」「『アイロンのある風景』、三日前に描き終えた。部屋の中にアイロンが置いてある。それだけの絵や」 「それがどうして説明するのがむずかしいの?」「それが実はアイロンではないからや」 順子は男の顔を見上げた。「アイロンがアイロンじゃない、ということ?」「そのとお...

  • 岡崎武志●雑談王―― 岡崎武志バラエティ・ブック

    京都の貧乏学生だった時代、古本屋と定食屋とジャズ喫茶をほっつき歩いていた。 古本屋の棚で、つねに見上げるように憧れの目で見つめていたのが、サイのマークがついた晶文社の本で、とくに一連のバラエティブックの存在は強力だった。〔…〕 1970年代後半といえば、まだ文学という大通りが元気な頃で、文学でもミステリ、それに音楽や映画、演劇、またはマンガなどはサブカルチャーと呼ばれ、裏通りに店を構えている扱いだった。 ...

  • 南 伸坊/糸井 重里●黄昏

    南  ついこのあいだのことだよね、あれ。 糸井 ついこのあいだだけど、年数でいえばけっこう昔だよ。30年とかだもん。 南  そうなんだ。でも、こないだっていえば、こないだなんだよ。だって、30年前って80年代でしょ。 糸井 そういわれると、そうか。 南  60年代の、高校生だったころは、さすがに昔だっていう感覚があるけど。     70年代のことを話すときは「ちょっと前の話なんだけど」とかって言っちゃ...

  • 坂口恭平●TOKYO 0円ハウス0円生活

    ソーラーパネルで自家発電しながら、可動式で、軽くて、固定されてなくて、船にもなる……。この家は一体なんなのだろう。 そんな家が、ほとんど路上に落ちているものを拾ってきて、それを転用して作られているのである。〔…〕 「そのへんに散らばっているもの」で十分なのだ。それは家自体が、「材料によって制限されていない」のである。 「直観によって自動的に作られたものは、非常に効率的である」これが、僕がこれらの路上生活...

  • 高田郁●花散らしの雨――みをつくし料理帖

    蕗の葉を落とし、いくつかに切ると、たっぷりの塩で丁寧に板摺りする。鍋に湯を沸かし、さっと茹でたら水に放つ。 「こうすると灰汁(あく)が抜けて美味しくなるの。あ、葉はあとで使うから捨てないでね」筋を取ってみせながら、清はふきに優しく教える。 「蕗には無駄なところがひとつもないのよ。とても偉い野菜だわ」〔…〕「偉い野菜?」「そう、とても偉いの。葉も茎も美味しく食べられるし、こうして出た筋でお鍋を擦ると汚れ...

  • 後藤正治●奇蹟の画家

    石井一男の日々に変わりはなかった。ギャラリー島田へ出向くのと同じように、折々、石井のもとを訪れた。 石井作品の購入者や鑑賞者の取材を続けていると、制作者側の確認を取りたく思うことが出てくる。そんな小さな用件を抱えて足を向けた。用件が済むと、少々雑談し、制作中の絵を眺めつつぼんやりとする。そんなのんびりとした訪問であった。 取材ノートに埋まる文字は少ないが、やがてそれにも慣れていった。それに、と私は思...

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