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竹中明洋◎殺しの柳川 日韓戦後秘史      …………☆最強の在日ヤクザ、日韓の架け橋となった知られざる後半生

2019.11.14殺しの柳川



「私ら在日は日本において差別されただけでなく、本国からも見捨てられ、挙げ句の果てに利用された苦難の歴史を歩んできたんです。

泥田を這うような暮らしをしていた私らを守護神のように守ってくれたのが、柳川さんが持つ暴力でした。あの時代を乗り切るには柳川さんの暴力が必要やったんです。

在日の知識人のペンの力だけではどうにも弱かった


 民団大阪の幹部にもなった柳川の元側近の李明昌(仮名)はそう語る。〔…〕

 69年に解散に追い込まれる。堅気となった柳川は、海峡を挟んだ2つの国の橋渡し役たらんとして日韓を行き来することに生涯を費やした。本国との太いパイプを築いた柳川は、韓国軍の情報機関と深く関わった。

 80年代の全斗煥政権時代には政権中枢にまでその影響力が及ぶようになる。

◎殺しの柳川 日韓戦後秘史 /竹中明洋/2019年7月/小学館/ISBN:9784093887106/◎=おすすめ


 柳川次郎(1923~1991)。本名、梁元鍚(ヤン・ウォンソク)。
 日本の植民地統治下の釜山に生まれ、1930年母・弟と大阪へ。
 1958年大阪キタに柳川組結成。山口組きっての武闘派の初代組長として「殺しの柳川」の異名で恐れられた。

 ――梁元錫の事業的手腕は急速に評価されてきた。〔…〕
土建、金融のほか柳川建設、柳川芸能社、大阪報知新聞社とつぎつぎに設立している。週刊とはいえ新聞社の経営にまで乗りだしたところに柳川組の異色さがみられる。
 (『山口組三代目 田岡一雄自伝』)

1960年 柳川、山口組直参となる。
1963年 柳川組が広域指定暴力団に。柳川、恐喝により収監。
1969年 獄中から柳川組解散を表明。山口組から絶縁処分。
1971年 出所。

 その交友範囲は、いちいち紹介しないが政界、財界、芸能界、スポーツ界など多岐にわたる。

 そのひとり、司馬遼太郎
 「街道をゆく」シリーズの28巻『耽羅紀行』(1986)は韓国済州島の旅を綴ったものだが、当初ビザがおりなかった。
 全斗煥大統領が金大中に死刑判決を出したことを受けて鈴木首相に助命を祈るとの書簡を出し、また朝日新聞に「市井人としての憤りと当惑とやるせなさを感じます」と書いたことが、韓国政府に危険視された。
 このため司馬と親交がふかい姜在彦(カン・ジェオン)が司馬と柳川を会わせる。柳川の根回しですぐにビザがおり、司馬は姜在彦とともに済州島へ出かける(この経緯は『耽羅紀行』には一切触れられていない)。

 ヤクザから完全に引退した後は名を魏志(たかし)と改める。

1974年 大阪に日韓親善友愛会、在日大韓勝共統一評議会、設立。
1978年 亜細亜民族同盟、設立。
1984年 韓国政府から保国勲章・光復章を受章
1985年 韓国平和統一政策諮問会議委員

 「ハクサ(博士)の上にエクサ(陸士)あり、ユクサの上にポアンサ(保安司)あり」、全斗煥のクーデターによって、博士号を持ったインテリよりも陸軍士官学校を出た軍人のほうが幅をきかせ、そのなかでも全斗煥を筆頭とするポアンサ幹部が権力を握った当時の世相を表す。

 保安司(ポアンサ)とは、軍の捜査機関であり情報機関でもあった国軍保安司令部である。そのなかで日本におけるポアンサの重要な協力者として登場するのが柳川次郎こと梁元錫だ。日韓の“架け橋”という役割を務める。

 だが、全斗煥(大統領在任:1980~1988年)時代の終焉は、柳川にとって韓国、ひいては日本での力を失うことを意味した。

 ――韓国本国での後ろ盾を失うことで表社会での威光にも翳りが現れるようになったことに柳川の焦りもあったのではないか。柳川が悩んだ末に選んだのは暴力の世界に立ち返ることだった。 (本書)

 柳川組再興が密かに計画されていた。柳川が山口組の最高顧問になり、柳川組二代目だった谷川康太郎が柳川組の組長に返り咲く。それは4代目組長になったばかりの竹中正久の了解も得たというものだ。

 いわば本書の“スクープ”であるので、ここでは詳しく引用することを控える。柳川は、暴力によってしか自己を表現できない、と思うようになったのか。

 ――「殺しの柳川」とのタイトルには、少なからず躊躇があった。〔…〕だが、この「殺しの柳川」との異名は、彼の十字架として終生ついてまわったことは事実である。周囲もまたそうした柳川であることを期待した。その悲哀を描かずして彼の生涯を語れないとの思いから、このタイトルとした。 (あとがき)

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