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横田増生◎潜入ルポamazon帝国     …………☆ネット小売業がGAFAの一角をしめるのは何故か

2019.12.16潜入ルポamazon帝国



  われわれが決して目にすることはできないAWS。しかし、各企業がさまざまに使いこなすことによって、われわれの生活は大きく変わろうとしている。

 その舞台裏にはアマゾンがいる。消費者向けのサービスで圧倒的な強さをみせるアマゾンが、企業や行政向けであるクラウドサービスでも圧倒的なシェアを握り独走している。

 アマゾンの説明だけを聞いていると無謬にも思えたAWSの脆弱性が日本で露見したのは、19年8月下旬のこと。東京近郊にあるEC2が、数時間にわたり、オーバーヒートのため、システムダウンを起こした。

 これにより、NTTドコモやユニクロ、ソフトバンク系のスマホ決済機能であるPayPayなど、数多くの企業の業務に支障をきたした。


 調べてみると、AWSはこれまでも毎年のように、システムダウンを起こしていることがわかった。どれほど優れたシステムであろうとも、妄信してはいけないという戒めであろう。

◎潜入ルポamazon帝国/横田増生/2019年9月/小学館/ISBN:9784093801102/◎=おすすめ


 横田増生(1965~)といえば潜入ルポである。潜入するため、法的に改名する。妻と離婚し、再婚して、名前を変え、健康保険や免許証の名前も変え、銀行口座を開き、クレジットカードも作る。

 『アマゾン・ドット・コムの光と影』(2005)、『ユニクロ帝国の光と影』(2011)、『仁義なき宅配 ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン』(2015)、『ユニクロ潜入一年』(2017)。そして本書。

 著者の“潜入もの”は、読み進めていくうちに、息苦しくなる。現場での労働のシステムと実際に働いている人たちの言動を知るにつれ、ここではロボットの“心”をもたないと働けないなと思う。というわけで、本書もタイトルを見て敬遠していた。ところが目次を見ると“象”の倉庫を撫ぜるだけでなく、“群盲”ならぬ著者が“amazon象”の各部位を撫ぜる力作ノンフィクションである。

 とはいうものの、まずは東京ドームの4個分はあるという小田原の物流センターに“潜入”する。

 商品を発注してから届くまでの一連の流れを整理してみる。
ネットの画面で商品を注文する。→アメリカのアマゾンのサーバーへ。→届け先から近い日本国内の物流センターへ転送。

 ここから物流センターのバイトの作業である。ピッキングは注文のあった商品を探す作業のこと。
 カートの上にトート(折り畳み式のカゴ)を載せる。トートに貼ってあるバーコードを端末で読み込む。端末の画面上にピッキングすべき商品が表示される。
たとえば、「P-4 A241  C448 商品名」
P-4は4階、A241はAゾーンの241番目の棚、C448は棚の下から3番目「C」の「448」番目の間仕切りの中。そこからその商品が探しだし、商品に添付されているバーコードを読み込む。

 この作業を繰り返し、ピッキングされた商品はベルトコンベヤーで、1階の梱包・出荷エリアへ。→梱包→宅配便業者の中継センターへ。……という手順である。

 当方が恐ろしいと感じるのは、1つのピッキングが終わると、次の商品名がスキャナーに表示され、その場所まで「〇〇秒」と表示される。
 100回のピッキングで100回とも時間通りにピッキングできればPTG(パーセンテージ・ツゥー・ゴール)100となる。そして毎日、バイト全員の名前と順位、PTGの数字が一覧表となって張り出される。

 この小田原の物流センターでは、“アマゾン様”(と下請け会社は呼ぶ)の下に統括する人材派遣会社があり、さらにその下に30社ほどの孫請け会社がある。ここで働いているアルバイトは、通常1000人(時期により2000人に膨れあがる)が働いている。
作業現場には、「ワーカーさん」と呼ばれる下っ端のアルバイト、その上にトレーナー→リーダー→スーパーバイダーがいる。いずれも時給で働くアルバイトに過ぎない。

 著者は、持参した万歩計付きの時計ではかると、歩いたのは9時~5時で2万8761歩、距離にして23kmである。このほかセッション率とか、いつでも見張られている気持ちになる“最も秘密主義のテクノロジー企業”の一端が描かれている。

 当方が興味のあったのは、「第6章 わが憎しみのマーケットプレイス」という出品業者を“搾取”する実態や「第7章 フェイクレビューは止まらない」という“悪質出品者”に加担するレビューアーたちの恐るべき姿である。

 さて、上掲の「第8章 AWSはAIアナウンサーの夢を見るか」である。システムダウンを紹介したいのではなく、多くの企業はアマゾンと抜き差しならぬ関係にあることを知らせたかった。

 AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)を利用する企業は、全世界で数百万社を超え、その中には、NASAやCIA といった米政府機関、メガバンクのHSBCやゴールドマンサックス、ジョンソン&ジョンソンやファイザー製薬、ゼネラル・エレクトリック社など名だたる企業が利用している。
 わが国でも上掲のNTTドコモやユニクロ、ソフトバンク系PayPayのほか、NECやソニー銀行といった大手企業など10万社以上がユーザーとして名を連ねる。

 AWSは、クラウドの基本的なサービスであるレンタルサーバー、データベース、ストレージを利用したデータの保存、バックアップをはじめ、ソフトウェアのオンデマンド配信、IoTシステムの構築、機会学習、画像認識といったAmazonが保有する最新の技術を利用することできる。

 本書で紹介されているのは……。朝日新聞の例。 
 編集者がつけた見出し、「区と正式合意 日比谷図書館の千代田区移管」に対し、AWSは「日比谷図書館を千代田区に移管 都教委が正式合意」という見出し。
 こういった自動見出しを同じ記事から5秒で10本の違った見出しをつける機能、「リニア新幹線は、名古屋から大阪に“伸びる”予定」という原稿を“延びる”と自動校正する機能など。
 日本経済新聞は、年間15,000本の決算記事を“AI(人工知能)記者”が書く。
 エフエム和歌山は、文章をリアルな音声に変換するサービスである「Amazon Polly」を使い、ニュースや天気予報の原稿を自動で読み上げる放送をはじめた。災害時に24時間態勢での放送をめざす。

 当方はアマゾンが巨大なネット小売業だと思っていたが、実は上掲のAWSがアマゾンの営業利益の6割を得ていることを知った。GAFAの一角をしめるのは、このクラウドコンピューティングサービスによる。

 多くの企業がアマゾンをパートナーとし、多くの人々が日常生活からアマゾンを欠かすことのできないものとなっている。
当方も、利用しているが、画面をよく見ないとプライム会員にされてしまうので、気をつけながら、買い物は外へ出るよう意識している。かつて毎週アマゾンを利用していたものを今年は2か月に1回程度にとどまるようになった。

 おそらく多くの人たちは買い物以外にもアマゾンを利用し、ときどきこれでいいのかと悩んでいるのではないか。

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