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黄文雄/石平□「中国の終わり」のはじまり

20130415中国の終わりの始まり


現在の中国は、改革開放から30年以上が経ち、経済力と軍事力の増大によって、世界に対する影響力も非常に大きくなっている。

しかし、その一方でこの国は、国家主権、民主主義、人権、知的財産権、環境、法治主義……など、さまざまな面で、世界の人びとと普遍的な価値の共有ができていない。

そればかりか、未来の夢さえ共有できない。


中国人が絶対に謝らないのは有名だが、中国政府でさえ、つねに「正しいのは自分たちであり、間違っているのは相手、すべて相手が悪い」という独善的な態度に終始している。

しかも、世界と価値を共有できないだけでなく、中国国内でも、中央政権内部、中央と地方、政権と民衆、民衆間において、価値の共有などまったくできていない。

権力闘争と政治腐敗、特権階級による富の収奪、凄まじい格差拡大、そして中国人の海外への大量逃避など、はっきりいって、中国社会はバラバラで、まったく安定していない。



□「中国の終わり」のはじまり――習近平政権、経済崩壊、反日の行方│黄文雄/石平│徳間書店│ISBN:9784198635213│2012年11月│評価=△

〈キャッチコピー〉
反日のツケで10年以内に中国は崩壊する! 中国と中国人の本質を歴史的に解明しつつ、いま起きていることの意味を分析し、これから中国に何が起きるかを、中国が最も恐れる論客2人が語り合う。

〈ノート〉
 習近平の中国がスタートするにあたって、おびただしい数の本が出た。したがって目立つためにタイトルも過激なものが多い。本書もその一つ。

 本書は、台湾出身で、中華王朝の歴史から現在の中国の脅威、手口などを長年研究してきた黄文雄と、中国内陸の四川省の出身で、中国情勢や中国独特の混迷した政治状況の分析を行ってきた石平という、「反中親日」の二人の対談である。

 二人は、「習近平政権は2期10年を全うできない、いずれ政権は崩壊せざるをえない」との見解である。

 海外在住の中国人は4,500万人だといわれているが、黄文雄は年間300万人、そのほとんどが“国際盲流”として脱出している人たちだという。

石平は、この20数年間は、支配者階層が逃げていくという新しい現象が起きているという。「もちろん、中国で権力を握っているあいだは、本人は逃げません。そのかわり、子どもや親族はみんな海外に出ていっているのです。しかも、一時的に留学して、やがて中国に帰るというかたちではなく、全財産をもってイギリスやアメリカへ出ていくのです」。

「権力者層、エリート層ほど、中国にすばらしい時代がこないことを確信しているんですね。一方、中国共産党が、どうしてこうしたエリート層の海外逃亡を阻止できないかというと、外に出たい人は出したほうが、国内で造反したり反乱を起こされたりしないですむ、といった意識があるからです。もう末期的な状況なんですよ」。

ワシントンン・ポスト紙によれば、胡錦濤政権の最高指導部常務委員9名のうち、少なくとも5人が子供や孫をアメリカに留学させているとのこと。習近平の娘もハーバート大学に。

もっとも悪質なのは、汚職で得た収入で、子どもを留学させ、つぎに妻を移民させ、資産を海外に移すもの。自らは国内に残る。「裸官」と呼ばれている。2万人に近くいるという。

かつてクリントン国務長官が「20年後に中国は最貧国に転落する」と語ったのは、中国のエリート層、富裕層は海外へ脱出してしまうから、という意味だったのか。

〈読後の一言〉
親日反中嫌韓の二人の論客の放談は、例によって耳触りがいいが、話半分で。

〈キーワード〉
価値の共有 エリート層の中国脱出 習近平体制

〈リンク〉
石平/黄文雄/呉善花◆帰化日本人――だから解る日本人の美点・弱点


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