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田中森一★遺言――闇社会の守護神と呼ばれた男、その懺悔と雪辱

2015.01.29遺言

「先生、自らの人生を振り返ってどうお考えですか」〔…〕

小太りの記者は記事のタイトルに使えそうなインパクトのある言葉を引き出そうと思っていたのだろう。

 その質問には敏腕検事、闇社会の守護神、刑務所の独居房での4年8か月の服役生活、紆余曲折の人生を本人はどう感じているのか、読者ならずとも興味津々だというニュアンスがこもっていた。私は足を止めた。

「“もう一回、あなたに人生を与える”と、神様に言われたら」
 私は記者を見て少し口元をほころばせた。そして口を開く。

「懲役を背負ってもいいから、もう一回同じ田中森一の人生を歩みたい、そう神様にお願いするわ」
〔…〕

「わしはこれまで自分の思うように生きてきた。悪といわれるなら悪でいい。自分の人生に悔いはない」
車窓に目をやり、私は胸の内でつぶやいていた。




 1943年生まれ。特捜部のエースとして疑獄事件を担当。バブル絶頂期に弁護士転身。裏社会の大物たちの顧問弁護士に。詐欺事件で逮捕され服役5年。塀の中では「論語」を体系的に勉強し直し、ノート22冊にまとめた。後に『塀のなかで悟った論語――現代人を癒す24の答え』(2013)刊。

 また、精神の昂揚感を維持するために啓発本を約1000冊読破。ところで医療刑務所には医師が1人しかいないとは驚き。胃がんの手術を受け、出所後に再発。本書発刊後の2014年11月死去。“特別な友”イトマン事件の許永中との再会はかなわなかった。

 本書は、最初のベストセラー『反転――闇社会の守護神と呼ばれて』(2007)に、塀の中以降を加えたもの。

★遺言――闇社会の守護神と呼ばれた男、その懺悔と雪辱 │田中森一│双葉社│ISBN:9784575307269│2014年09月│闇社会の守護神、5年の独居房生活と二度のがん手術│評価=△

田中森一■ 反転――闇社会の守護神と呼ばれて


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