01/ジャーナリスト魂・編集者萌え│T版 2015年4月~8月
01/ジャーナリスト魂・編集者萌え - 2015年09月02日 (水)
01/ジャーナリスト魂・編集者萌え│T版 2015年4月~8月

**2015.05.01
★門田隆将『「吉田調書」を読み解く――朝日誤報事件と現場の真実』
吉田昌郎氏、そして現場の人々は、実は事故と闘っただけではなくて、「官邸」とも闘い、「東電本店」とも闘っていた。さらにいうなら、現場の所員の多くは福島県浜通り出身の地元の人間であり、彼らは愛する郷土とそこに住む人びとを守るために奮闘していた。★門田隆将『吉田調書」を読み解く――朝日誤報事件と現場の真実』○2014
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『死の淵を見た男――吉田昌郎と福島第一原発の500日』の著者による朝日新聞「吉田調書」スクープ記事への反論の書。門田の反論に対し、朝日は、「朝日新聞の名誉と信用を著しく毀損する。法的措置を検討する」との抗議書を門田に送りつけた。そして安倍官邸が「吉田調書」全文を公開する日、朝日新聞は「当該の記事を撤回し、謝罪する」という前代未聞の謝罪会見を行った。
**2015.05.06
★青木理『抵抗の拠点から――朝日新聞「慰安婦報道」の核心』
吉田調書報道に関していえば、朝日は記事化の過程で大きなミスを犯したというのだが、政府が隠している情報をいち早く入手し、世に発信しようとした姿勢と努力は認めるべき。★青木理『抵抗の拠点から――朝日新聞「慰安婦報道」の核心』○2014
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朝日新聞への“異常かつ過剰なバッシング”を朝日の現役、OBの生々しい証言、率直な心情を聞き出したもの。だがあの記事は、“逃げた”650人の誰一人にも裏付け取材せず、多くの人びとを傷つけた。「手術は成功したが、患者は死亡した」「いい材料での料理だから、味はまずくても」と同じで、著者の擁護は納得しがたい。
**2015.05.08
★朝日新聞有志『朝日新聞――日本型組織の崩壊』
「吉田調書」の入手先についても、朝日社内では「菅直人ではないか」との憶測が絶えない。そのような憶測が流れるのには理由があった。★朝日新聞有志『朝日新聞――日本型組織の崩壊』△2015
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「朝日新聞社の病巣はイデオロギーではなく、官僚的な企業構造にこそ隠されている」とする朝日有志による内部から告発の書『朝日新聞――日本型組織の崩壊』。これだけの問題を起しながら当該記者は減給処分。社員に甘い朝日は、定年まで寄生する自称ジャーナリストばかり?どこの企業、役所にもあるサラリーマン権力闘争の暴露本。
**2015.08.18
★徳山喜雄『「朝日新聞」問題』
ジャーナリズムの鉄則は「提示された事実」の裏付けをとり、裏付けがとれたなら、公益性を判断するためその事実に社会的な文脈を与え、そして取材対象者に反論の機会を与える」というものだ。★徳山喜雄『「朝日新聞」問題』
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記事審査室幹事も務めた朝日の現職記者。慰安婦報道、原発報道などの“朝日問題”を第三者機関の報告書を含め検証したもの。ジャーナリストの青木理、魚住昭は“吉田調書”記事取り消しを行き過ぎだと批判したが、著者は慰安婦報道を放置してきた愚を繰り返さないという社の判断があったと推測し、情報源秘匿を口実に証拠を開示せず、原発から逃げたという東電社員に反論の機会を与えず「裁く」やり方を是としない。まことに明解な解説書。
**2015.05.13
★長谷川幸洋『2020年新聞は生き残れるか』
何を隠そう、私自身がそうだった。現役の取材記者時代、記事を書くのに読者のことを考えたことはほとんどなかった。★長谷川幸洋『2020年新聞は生き残れるか』△2013
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長谷川記者の頭には①ライバル他社、②取材相手、③デスク、④同僚の順で、読者は不在。そして「読者、視聴者に支持されているかどうか」がプロのジャーナリストの存在証明だと。東京新聞論説副主幹には時の政府の権力を監視する姿勢は微塵もない。東京五輪決定の翌朝新聞が休刊でも「新聞がなくても困らない」と読者は実感し見放されたと、再三他人事のように述べている。
**2015.05.29
★宝島「殉愛騒動」取材班『百田尚樹「殉愛」の真実』
今回の問題はメディア業界における作家タブーの存在と、それに起因した異様な自粛、言論封殺であり、大手週刊誌が1人の作家に完全敗北するというジャーナリズム史上最悪の言論事件だった。★宝島「殉愛騒動」取材班『百田尚樹「殉愛」の真実』◎2015
*
「殉愛騒動」における「週刊文春」「週刊新潮」のだらしなさ。百田に全面降伏し媚を売り続けた。花田元文春編集長は「百田が生み出す利益を考えたら、出版社は批判しないのは当然」と古巣をかばう。「週刊現代」「週刊ポスト」の黙殺も許せない。これ以来、文春や新潮のどんなスクープ大見出し広告にも胡散臭さを感じる。
*
『百田尚樹「殉愛」の真実』の執筆者の角岡伸彦、西岡研介(松本創を加えた神戸新聞出身トリオで)は、百田などに構っておらず橋下徹を書いてもらいたい。佐野真一のような“血脈”ではなく、橋下が府庁、市役所で公金、公務を蹂躙し、大阪独自の文化やコミュニティを破壊したことを書いてほしい。放っておけば国政に進出しかねない。
**2015.08.20
★永栄潔『ブンヤ暮らし三十六年――回想の朝日新聞』
入社した年だったか、広岡知男社長・主筆が、朝日の中国報道への批判に対し「相手の嫌がることを取材したり書いたりする必要はない」と。「私たちは日々、相手の嫌がることを取材している。社長をお辞めになるべきだ」と社長に手紙を出したが、咎められることもなかった。★永栄潔『ブンヤ暮らし三十六年』
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1947年生まれ、「友がみなわれよりえらく見ゆる」日々だったというが、出世を望まず、事には是々非々、ゆえに狂犬、破壊分子と陰口を叩かれた元朝日新聞記者の回想録。ソ連のKGB資料をめぐり後藤田正晴から右翼だと言われた話、瀬島龍三、赤尾敏、金賢姫など取材の裏話も興味を引くが、なんといっても朝日の社内事情、先輩・同僚・後輩との確執話がおもしろい。船橋洋一元主筆などぼろくそに書かれている。

**2015.05.01
★門田隆将『「吉田調書」を読み解く――朝日誤報事件と現場の真実』
吉田昌郎氏、そして現場の人々は、実は事故と闘っただけではなくて、「官邸」とも闘い、「東電本店」とも闘っていた。さらにいうなら、現場の所員の多くは福島県浜通り出身の地元の人間であり、彼らは愛する郷土とそこに住む人びとを守るために奮闘していた。★門田隆将『吉田調書」を読み解く――朝日誤報事件と現場の真実』○2014
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『死の淵を見た男――吉田昌郎と福島第一原発の500日』の著者による朝日新聞「吉田調書」スクープ記事への反論の書。門田の反論に対し、朝日は、「朝日新聞の名誉と信用を著しく毀損する。法的措置を検討する」との抗議書を門田に送りつけた。そして安倍官邸が「吉田調書」全文を公開する日、朝日新聞は「当該の記事を撤回し、謝罪する」という前代未聞の謝罪会見を行った。
**2015.05.06
★青木理『抵抗の拠点から――朝日新聞「慰安婦報道」の核心』
吉田調書報道に関していえば、朝日は記事化の過程で大きなミスを犯したというのだが、政府が隠している情報をいち早く入手し、世に発信しようとした姿勢と努力は認めるべき。★青木理『抵抗の拠点から――朝日新聞「慰安婦報道」の核心』○2014
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朝日新聞への“異常かつ過剰なバッシング”を朝日の現役、OBの生々しい証言、率直な心情を聞き出したもの。だがあの記事は、“逃げた”650人の誰一人にも裏付け取材せず、多くの人びとを傷つけた。「手術は成功したが、患者は死亡した」「いい材料での料理だから、味はまずくても」と同じで、著者の擁護は納得しがたい。
**2015.05.08
★朝日新聞有志『朝日新聞――日本型組織の崩壊』
「吉田調書」の入手先についても、朝日社内では「菅直人ではないか」との憶測が絶えない。そのような憶測が流れるのには理由があった。★朝日新聞有志『朝日新聞――日本型組織の崩壊』△2015
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「朝日新聞社の病巣はイデオロギーではなく、官僚的な企業構造にこそ隠されている」とする朝日有志による内部から告発の書『朝日新聞――日本型組織の崩壊』。これだけの問題を起しながら当該記者は減給処分。社員に甘い朝日は、定年まで寄生する自称ジャーナリストばかり?どこの企業、役所にもあるサラリーマン権力闘争の暴露本。
**2015.08.18
★徳山喜雄『「朝日新聞」問題』
ジャーナリズムの鉄則は「提示された事実」の裏付けをとり、裏付けがとれたなら、公益性を判断するためその事実に社会的な文脈を与え、そして取材対象者に反論の機会を与える」というものだ。★徳山喜雄『「朝日新聞」問題』
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記事審査室幹事も務めた朝日の現職記者。慰安婦報道、原発報道などの“朝日問題”を第三者機関の報告書を含め検証したもの。ジャーナリストの青木理、魚住昭は“吉田調書”記事取り消しを行き過ぎだと批判したが、著者は慰安婦報道を放置してきた愚を繰り返さないという社の判断があったと推測し、情報源秘匿を口実に証拠を開示せず、原発から逃げたという東電社員に反論の機会を与えず「裁く」やり方を是としない。まことに明解な解説書。
**2015.05.13
★長谷川幸洋『2020年新聞は生き残れるか』
何を隠そう、私自身がそうだった。現役の取材記者時代、記事を書くのに読者のことを考えたことはほとんどなかった。★長谷川幸洋『2020年新聞は生き残れるか』△2013
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長谷川記者の頭には①ライバル他社、②取材相手、③デスク、④同僚の順で、読者は不在。そして「読者、視聴者に支持されているかどうか」がプロのジャーナリストの存在証明だと。東京新聞論説副主幹には時の政府の権力を監視する姿勢は微塵もない。東京五輪決定の翌朝新聞が休刊でも「新聞がなくても困らない」と読者は実感し見放されたと、再三他人事のように述べている。
**2015.05.29
★宝島「殉愛騒動」取材班『百田尚樹「殉愛」の真実』
今回の問題はメディア業界における作家タブーの存在と、それに起因した異様な自粛、言論封殺であり、大手週刊誌が1人の作家に完全敗北するというジャーナリズム史上最悪の言論事件だった。★宝島「殉愛騒動」取材班『百田尚樹「殉愛」の真実』◎2015
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「殉愛騒動」における「週刊文春」「週刊新潮」のだらしなさ。百田に全面降伏し媚を売り続けた。花田元文春編集長は「百田が生み出す利益を考えたら、出版社は批判しないのは当然」と古巣をかばう。「週刊現代」「週刊ポスト」の黙殺も許せない。これ以来、文春や新潮のどんなスクープ大見出し広告にも胡散臭さを感じる。
*
『百田尚樹「殉愛」の真実』の執筆者の角岡伸彦、西岡研介(松本創を加えた神戸新聞出身トリオで)は、百田などに構っておらず橋下徹を書いてもらいたい。佐野真一のような“血脈”ではなく、橋下が府庁、市役所で公金、公務を蹂躙し、大阪独自の文化やコミュニティを破壊したことを書いてほしい。放っておけば国政に進出しかねない。
**2015.08.20
★永栄潔『ブンヤ暮らし三十六年――回想の朝日新聞』
入社した年だったか、広岡知男社長・主筆が、朝日の中国報道への批判に対し「相手の嫌がることを取材したり書いたりする必要はない」と。「私たちは日々、相手の嫌がることを取材している。社長をお辞めになるべきだ」と社長に手紙を出したが、咎められることもなかった。★永栄潔『ブンヤ暮らし三十六年』
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1947年生まれ、「友がみなわれよりえらく見ゆる」日々だったというが、出世を望まず、事には是々非々、ゆえに狂犬、破壊分子と陰口を叩かれた元朝日新聞記者の回想録。ソ連のKGB資料をめぐり後藤田正晴から右翼だと言われた話、瀬島龍三、赤尾敏、金賢姫など取材の裏話も興味を引くが、なんといっても朝日の社内事情、先輩・同僚・後輩との確執話がおもしろい。船橋洋一元主筆などぼろくそに書かれている。
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