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村上春樹★村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事  ☆チャンドラー『プレイバック』を読んでみなくては……。

20170612

2017.06.12村上春樹翻訳ほとんど全仕事


 そういえば、かなり昔のことですが、雑誌に書評を頼まれたとき、存在しない本の書評を書いたことがあります。

 まず本を読まなくちゃいけないじゃないですか、書評って。

 時間がなくてあまり本が読めないときとか、てきとうな本が見つからないときとか、しょうがないから自分で勝手に本をつくってしまって、その書評を書いたりしました。出鱈目なあらすじを書いて。


★村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事 |村上春樹|中央公論新社|2017年3月|ISBN: 9784120049675|○

 本書の目玉は二つ。一つは、村上春樹の翻訳書70点余りの表紙と原本の表紙をカラー写真で紹介したもの。もう一つは翻訳家柴田元幸との翻訳についての長い長い対談。

 上掲の書評の話は、その対談の中で語られたもの。当方は翻訳物を読まないから、いつものように卓抜な警句と、意表を突く比喩を探し、そしてゴシップを集める。そういえば、上掲にフレーズの前にこんなセリフも……。

 ――アンソロジーに収録するてきとうな作品が見つからないときなんか、翻訳しているふりをして、自分でオリジナルをでっちあげちゃおうかと思うこともありますね(笑)。名前を勝手にこしらえで、あまり知られていないアイスランドの作家ですとか言って。(本書)

これでファンは新しい翻訳アンソロジーが出たら、探す楽しみができましたね。
 
 なぜこんなに多くの翻訳をするのか、の疑問にも答えている。
 朝4時に起き、小説を書き、あと時間が余って、ジムに行ったり走ったりするが、これも1、2時間。まだ暇があるので、じゃあ翻訳でも。通常の「作家の副業」である対談、講演、連載エッセイとかは、疲れるので……。

 レイモンド・チャンドラーの翻訳裏話も興味がある。

 ――この『ロング・グッドバイ』を翻訳する作業は、思わずにこにこしてしまうくらい本当に楽しかった。僕は作家として、チャンドラーの文章からたくさんのことを学んできたから、彼の文章を訳していると、なつかしい場所に帰ってきたみたいで、でそれがすごく嬉しかった。(本書)

 「チャンドラーの文体は僕の原点でもある」と村上はいう。村上の作品の卓抜な比喩や気の利いた警句、洒脱な会話、そして個性的な登場人物は、こうしてチャンドラーを翻訳しながら、習得し、文体の訓練をしているのかもしれないと、ちょっと秘密を知った気になった。

 『プレイバック』の名セリフは、当方、何十年も前に早川ポケ・ミスの清水俊二訳で親しんだ。
「しつかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかつたら、生きている資格がない」

 村上春樹は「典型的な仮定法の構文。仮定法のニュアンスって日本語になおすとけっこうむずかしいんだ。どう訳したか? 読んでみてください」とこの本では、以下の原文を記すのみ。

If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive. If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive.




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