ジェームス三木★片道の人生 …………☆憲法改正は、できちゃった婚である

20170625

2017.06.25片道の人生


 アメリカに原爆を投下されると、時の政府は敗戦を終戦と言い、〔一億総懺悔〕と責任を転嫁した。何やら今の〔一億総活躍〕と似ている。

 日本国憲法は第9条で〔戦争の放棄〕と〔陸海空軍の不保持〕を宣言したはずだが、いつのまにか警察予備隊が保安隊になり、20万人を超える自衛隊になった。外国では自衛隊を、アーミーといっている。安保条約はアメリカとの軍事同盟であり、集団的自衛権は、条件つきだが戦争を可能にした。〔…〕

 政府は四苦八苦して、9条を都合よく解釈してきたが、とうとう行き詰まって、憲法の改正を公言した。

こどもができたから入籍する〔できちゃった結婚〕と同じである。 




★片道の人生 |ジェームス三木 |新日本出版社|2016年11月|ISBN:9784406060691 |○

脚本家ジェームス三木の「エッセイというか、回顧録というか、好き勝手なことを、思うがままに書いてきた」という短い132項目のコラム形式の半自伝である。NHK大河ドラマでは「独眼竜政宗」「八代将軍吉宗」「葵徳川三代」の3本を手がけた大家であり、テレビ界の裏話など笑わせながら読ませる。

 また「結婚は判断力の欠如、離婚は忍耐力の欠如、そして再婚は記憶力の欠如による」と劇作家アーサー・ゴッドフリーの格言を引きながら、前妻とのはちゃめちゃ離婚のいきさつ、だじゃれ好きの後妻との海外旅行をあけすけに語る。

 もちろん脚本家なので、言葉には厳しい。

 ――昔の人なら今のテレビをどう名づけるか。私なりの想像だが〔世相窓〕〔遠絵巻〕あるいは〔玉手箱〕。ケータイやスマホなら〔猫の手〕〔小手先〕〔如意棒〕〔ちょこざい〕でどうか。
 舶来のスポーツは、野球、蹴球、卓球、籠球と訳されたが、ゴルフだけは訳語がない。私の案は〔接待球〕である。


 ――最近多用される慣用句は〔○○は○○と考えても、いいのではないかなーと、いうふうに思っておりますけれども〕
 自分の意思を述べているのだから〔思っております〕は当たり前でくどい。他人ごとのようにいうのは、責任逃れに等しく卑屈である。〔けれども〕はそれまでいってきたことを、全否定している。あるいは結論の先延ばしである。〔かなー〕はガキ言葉の疑問形で、敬意ゼロ。


 だが1935年生まれ、旧満州奉天で生まれ育ち、敗戦で引き揚げた少年。国民学校、忠君愛国、空襲警報、玉音放送、略奪暴行、戦争難民、強制送還、焼け跡闇市など、コラムのタイトルが示すように昭和史と重なる。

 最近の世の中の動きについても、「文を以て武に報いる」(儒学者雨森芳洲)を座右の銘とする著者らしく、辛辣な警句を発する。

 ――押しつけだから改正するという主張には真っ向から反対する。憲法が押しつけなら、民主主義も基本的人権も押しつけなのだ。

 ――秘密にはこだわる政府が、何かといえば有識者の第三者委員会を設置して、意見を求めるのはなぜだろう。大臣や国会議員は、有識者ではないのか。

 ちなみに安倍のお友だちの加計学園獣医学部新設問題で国家戦略特区諮問会議の委員たちは「首相から要請もなく、一点の曇りもない明確な議論だった」とうそぶく。

 ――もっと危険なのは、政府が〔集団的自衛権〕とか〔抑止力〕とか、あるいは〔安全保障政策〕とかの名目で、周辺諸国を刺激し、緊張関係を生み出すことだ。
 どこの国でも同じで、時の政府が政権を維持する奥の手は、外敵を設定して国民に被害者意識を植えつけるにかぎる。


ちなみに 安倍晋三首相は、参院外交防衛委員会(2017/4/13)で、北朝鮮の弾道ミサイル技術に関し「サリンを弾頭につけて着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」と根拠なく不安を煽った。

 ――そこで私は、世界中のマスコミに注文をつけたい。ここ百年の間に戦争を起こした国々が、外国人を何人殺したかを突き止めて、ワーストテンを発表したらどうか。軍事大国はドキリとし、いくらかは反省の色を、示さざるを得まい。

 軽い口調で、重い心を語るが、その結論。

 ――百パーセント信じてきた〔民主主義〕に、実は重大な欠陥が、ありはしないかということだ。









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