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2017. 07. 17  
2017.07.17この自伝・評伝がすごい


安倍の返答を記している。

「総理大臣になることや総理大臣であり続けることが重要なのではなく、総理大臣になって何をするかが重要なんです」。

 ここで著者が強調したいのは「何をするかが」という部分だが、注意すべきは「総理大臣になって」の部分だ。つまり総理になってやらないと意味がないということである。

よって、安倍が「総理大臣になることや総理大臣であり続けることが重要なのではなく」の部分は嘘で、あくまで総理であることが重要なのだ。何故か、総理大臣の専権事項がたくさんあるからだ。

安倍以外、興味がない憲法改正など、総理でなければできるはずもないのである。

憲法改正が現実味を帯びるのは「いちばんやりたい安倍が総理大臣だから」なのだ。


――幸運力・安倍晋三(山口敬之『総理』)


★この自伝・評伝がすごい! |成毛眞|KADOKAWA|2017年4月|ISBN: 9784046019257|△

 HONZという書評サイトがあり、著者はその代表者。ブロガーと思われるメンバーがノンフィクションを書評する。以前、『紙つなげ!』という企業PR本を大々的にほめていたり、「今週のいただきもの」という出版社から送られてきた本を紹介したり、恣意的な書評サイトだと思っていた。したがって著者の本を手にするのは、初めて。だが、一味違っていた。

 パラパラとページを繰っていたら、山口敬之『総理』を扱っていた。準強姦罪容疑で逮捕状まで出ていたあの山口敏之の事件発覚前の著書である。いったん書棚に戻そうとしたが、どう安倍の“評伝がすごい!”と褒めているのか知りたくて、本書を手に取った。

 ――この推薦本(山口敬之『総理』)は、冷静さを欠くほどの安倍礼賛本である。著者は、安倍との出会いについて「当初からウマが合った」とし、2000年以来の関係を「時には政策を議論し、時には政局を語り合い、時には山に登ったり、ゴルフに興じたりしたと書いている。

 挙句の果てに出てくるのが「栄光と挫折を足掛け1 6年にわたって至近距離で見てきた」という一節だ。もちろん、時の宰相を描くときに自身が何ものであるかということをつまびらかにすることは重要である。ただ、シビリアン・コントロールを任せられている国民が、総理を捕まえて「栄光」とは、いかにもまずいのではないか。
(本書)

 そして著者成毛眞は、「批判的に読むのにちょうどいい、という理由で選定した」と書く。「また何とか、安倍晋三を、そして推薦本を褒めようとしたが、できなかった。申し訳なく思う次第である」とも。

 本書は一筋縄ではいかない本である。無謀力・小倉昌男、金策力・山中伸弥、貴族力・チャーチル、インパクト力・徳川綱吉など17人の自伝・評伝を取り上げている。自伝・評伝をダシに、○○力という表現が示すように、いわば逆張りの人物評を著者はやってのけた。タモリは絶望力であり、岡崎慎司はネガティブ力 であり、ニクソンは平和力なのだ。

 たとえばニクソンは(単独の自伝・評伝でなく、明石和康『大統領でたどるアメリカの歴史』をテキストにしている)、ウォーターゲート事件やドル・ショックで批判されるが、ベトナム戦争終結、中国との国交正常化、ソ連との冷戦の緊張緩和、この3点で評価されるべきで、「アメリカの大統領の中で誰が一番か、と問われれば、それはニクソンになる」と。すなわち「平和力・ニクソン」である。

 それにしても、安倍晋三は何をしたいのか。当方には、最初に憲法改正をした男という肩書だけがほしくて、唱えているだけに見える。別に9条でなくてもいいのだ。その程度のたくらみであればいいのだが。

 その安倍官邸がだんだん汚らしくなってきた。この『総理』で安倍を絶賛した山口敬之が準強姦罪容疑で逮捕寸前だったのを、捜査打ち切りにしたのが中村格警視庁刑事部長であり、“菅官房長官の片腕”である。さらに山口敏之は“安倍首相の右腕”北村滋内閣情報官に事後対応について相談していたという。官邸がレイプ事件を隠蔽したのだ。

 “もり・かけ”疑惑では、安倍アキレ夫人が首相と同じ厚顔・姑息な単細胞の似たもの夫婦であることが判明した。また菅義偉“名長官”の化けの皮がはがされ、警察官僚を駆使し私生活を暴いたり個人攻撃する下卑た“隠蔽長官”であり、最近では会見の場でもリスペクトされず、「そのような指摘は当たらない」などスガ語には失笑が漏れるようになった。

 元文科事務次官の“出会い系バーへの出入り”は、杉田和博官房副長官から読売新聞にリークされたのではないかとの疑惑があるし、加計学園で暗躍している萩生田光一官房副長官は落選時に加計に養ってもらっていた。安倍擁護のネットの書き込みは、官房機密費から金がでているのではないかと疑ってしまうほど、官邸は汚れている。

 安倍官邸のオモテの政策も、「地方創生」まではよかったが、「ニッポン1億総活躍プラン」、最近では「みんなにチャンス!構想会議」で「人づくり革命」だと。安倍官邸は、国民を舐めきったようなキャッチフレーズを多用し、だんだん恥ずかしくみじめたらしくなってきた。

 本書は「幸運力・安倍晋三」だが、当方は「姑息力・安倍晋三」がふさわしいと思う。

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