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吉田修一◆泣きたくなるような青空 …………☆観光で来日している外国人で日本語ができる人はほとんどいない。なのに彼らは日本観光を楽しんでいる。だから、……。

20180201

2018.02.01泣きたくなるような青空


 それでも海外旅行への興味はあり、あちらこちらに計画を立てるたびに付け焼き刃で勉強し、なんとか飛行機篇、ホテル篇、買い物篇くらいの英語は話せるようになっていた。ここで本腰を入れればよかっだのだろうが、

「よし、本気で英語をやろう」と思うのは、海外旅行から戻った直後だけで、

一週間もすればその熱意も冷めている。


 継続は力なりというが、「そろそろやろう」と思う気持ちだけは三十年も続いているのだから、そこをなんとか継続としてカウントしてもらえないだろうかと常々思う。

――「苦節三十年」


◆泣きたくなるような青空 |吉田修一 |2017年10月|木楽舎|ISBN: 9784863241190|○

 書棚を整理していたら古いパスポートが5冊出てきた。もっとも最近のものでも昨年末に切れている。とたんに朔太郎の「旅上」が浮かんだ。有名な「ふらんすへ行きたしと思へども ふらんすはあまりに遠し」の一節。せめての気ままな旅は、こう続く。

   汽車が山道をゆくとき
  みづいろの窓によりかかりて
  われひとりうれしきことをおもはむ
   五月の朝のしののめ
   うら若草のもえいづる心まかせに

  当方の旅は国内にシフトし、東北ひとり旅やミュージアム88か所めぐりをしている。朔太郎の詩は、新緑の頃の盛岡、酒田、象潟を思いださせる。

 海外へは30代後半から十数回でかけているが、心残りはオランダである。チューリップ畑を見て何が楽しいねんとノーマークだったが、じつはレンブラント、フェルメール、ゴッホの国である。アムステルダムの国立美術館、ゴッホ美術館、オッテルローのクレラー・ミュラー美術館、デン・ハーグのマウリッツハウス王立美術館を訪れたい。ついでにレンタ・サイクルで(ペダルの足が届かないかも)、運河にかかる橋の数々を渡りたい。

2018.02.01英語が喋れないチャリおじさんの旅

 オランダを自転車でという本を探したら、四方順次『英語が喋れないチヤリおっちゃんの旅――70日間にわたる抱腹絶倒ヨーロッパ8カ国4,000km』(2013)が見つかった。まさに当方が望んでいる旅である。

 著者は当時64歳。そのGPSを頼りの自転車旅、……。
 まずオランダ・スキポール空港着。アムステルダム中央駅まで電車で行こうと、自動券売機の前に立つが使い方が分からない。後ろの人に早くせよと肩をポンポン。窓口で買おうとすると、整理券で順番待ち。プラットホームで電車の乗るが、30分待っても動かない。その後いろいろ騒動があり、というのが初日。

 その後、ベルギー、ドイツ、デンマーク、スウェーデン、フィンランドと70日の旅。自転車を盗まれたり、パスポートや財布を盗まれたりするが、ご本人は「楽しい自転車一人旅だった」と。

 何より魅かれたのは、以下の記述である。当方はもちろん英語ができない。

 ――言葉が全くできないことは、よくよく考えると日本に観光で来日している外国人で日本語ができる人はほとんどいない。また外国人から英語で話しかけられたら、しっかり答えることが出来る日本人は、そんなに多くはない。なのに彼らは日本観光を楽しんでいる。
 私が海外に旅したら、旅人の私と日本に旅している外国人は結局、同じではないかと。
(同書)

 ちなみにしばしば海外旅行をする吉田修一は、「なんとか飛行機篇、ホテル篇、買い物篇くらいの英語は話せるようになっていた」が、あるフライトでまったく英語が理解できない体験を綴ったのが上掲の「苦節三十年」。最近はもっぱら中国語の勉強だそうだ。

 というわけで、最近読んでいる旅のエッセイ本は、JAL機内誌『SKYWARD』に連載の浅田次郎「つばさよつばさ」シリーズ。もう一つは上掲のANN『翼の王国』に連載の吉田修一「空の冒険」シリーズである。

 吉田修一『泣きたくなるような青空』は、『最後に手にしたいもの』と2冊同時、しかも 紙書籍、電子書籍、audible(本を耳で楽しむオーディオブック)の3媒体同時発売である。

 旅慣れている吉田は……。スイス・ベルンの旧市街地を囲むように蛇行して流れているアーレ川で、人が溺れているのに驚き、しかしよくよく見ると、人やゴールデンレトリバーが気持ちよさそうに流れているのだ。そこで吉田修一も、靴と靴下を脱ぎ、Tシャツを脱ぎ、自らも川に流れるのである。
 
 当方もベルンに行ったことがあるが、アーレ川付近を散歩し、大聖堂尖塔のらせん階段を上り美しい瓦屋根の旧市街を眺めただけである。それはさておき、「空の冒険」シリーズの楽しみは、旅だけでなく、さりげないフレーズが散りばめられているところにある。例えば……。

 ――人とのつながりというのは、50年のうちでどれくらい会ったかではなく、どれくらい会いたいと思ったか、なのだと。 (本書)

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