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高田賢三◆夢の回想録――高田賢三自伝…………☆パリの“夢”のなかに生きたファッション・デザイナーの自画像

20180219

2018.02.19夢の回想録


 夜の社交界を知らなければ、パリのモード界の実像は永遠に理解できないだろう。

 オペラ座近くのサンタンヌ通りに「セット」という伝説的なディスコがあった。三人〔イブ・サンローラン、カール・ラガーフエルド、高田賢三〕はここの常連だった。 〔…〕

 服飾関係者のほか、名だたる芸術家、芸能人らがたむろしていた。ミック・ジャガー、シルビー・バルタン、アンディ・ウォーホル、フランシス・ベーコンもよく出入りしていた。パリのカウンターカルチャー、ゲイカルチャーの拠点でもあった。

 〔…〕「セット」は業界の最新情報を収集するためのサロンになっていた。シャンパンやワインで華やかに乾杯し、気の合う仲間と朝まで踊り明かす。ここで人脈が広がり、新しいビジネスが生まれ、そして、すてきな恋も芽生える。


◆夢の回想録――高田賢三自伝 |高田賢三|2017年12月|日本経済新聞出版社|ISBN: 9784532176297|○

 高田賢三は、1939年姫路市の城北に位置する梅ケ枝町の生まれ。姫路城での野外のファッション・ショーは地元での語り草になっている。

 当方が日頃ぶらりと出かけるのは、東は神戸、西は姫路だ。姫路はいま外国人観光客で賑わっているが、カラフルで華やかな神戸とは好対照で、地元の若い女性のファッションはケンゾーのイメージにほど遠く地味である。いやシックというべきだろう。

 上掲は、パリのディスコだが、ケンゾーはニューヨークのディスコへも出入りした。マンハッタン西54丁目にある伝説的ディスコ「スタジオ54」。ここで銀髪のかつら、蝶ネクタイを締めたアンディ・ウォーホルが“夜の帝王”として君臨していた。

 ウディ・アレン、ダイアナ・ロス、トルーマン・カポーティ、サルバドール・ダリ、ライザ・ミネリ、ジョン・トラボルタ、マイケル・ジャクソンら各界の人気スターらでにぎわっていた。ここでケンゾーは1977年にファッションショーを開催する。またウォーホルには肖像画を描いてもらうことになり、彼のスタジオ「ファクトリー」で写真を撮ってもらったが、急逝したため実現しなかったという。

 パリやニューヨークの夜の社交界を紹介したが、それは当方が1920年代のパリを想起したからである。20年代時代の画家たちはモンパルナスにあふれ、70年代のデザイナーたちはセーヌ川左岸を基地とした。

 藤田嗣治はモンパルナスに住み、隣りの部屋のアメデオ・モディリアーニと知りあい、後のエコール・ド・パリの面々、ジュール・パスキン、モイズ・キスリング、シャイム・スーティン、マルク・シャガール、パブロ・ピカソなど他国出身の画家たち、パリ生まれのモーリス・ユトリロらと交友をむすぶ。モンパルナスの「蜂の巣」が活動拠点の一つだった。

 さて、そして……。
 
 ――創造を続けるデザイナーには、それ理解し、共感し、励ますパートナーの存在が絶対に欠かせない。仕事でも私生活でも互いに寄り添い、固い絆で結ばれた人生の伴侶が必要になる。
 当然のことながら、相手は異性のこともあれば、同性のこともある。
 多くの教養や財力をもち、人間として尊敬できる相手でなければとてもその関係は成立しないだろう。イブにはベルジエ、カールにはジャック、そして私にはグザビエというそれぞれ男性パートナーがいた。
 日本人にはまだまだ理解しにくい世界かもしれないが、パリでは決して珍しいことではない。
それがモードの発信力にもなっていた。
(本書)

 「木綿の詩人」ケンゾーは、1970年、英国ビクトリア時代の水着や子どもの制服に着想を得たマリンルックを皮切りに、76年まで毎年新しい作風を展開する。
 80年代には、組織の株式会社化、メンズ部門、ジーンズ部門、子供服部門、香水部門などを拡充し、さらに「ケンゾー」ブランドのライセンス事業も行う。また、ニューヨーク・ロンドン・ミラノ・コペンハーゲンなどに店舗を設ける。

 ケンゾー自ら、「私の黄金期」は70年代から80年代の前半くらいまで、と語っている。世界のファッション・ジャーナリストたちの人気投票によると、テニス・ルックを発表した72年秋に首位、83年くらいまでは上位3以内にいることが多かった。だが、80年代後半になると「ケンゾーは商業主義に走りすぎているのではないか」とジャーナリストから批判され、一気に下落する。このころから、日本人勢では三宅一生、山本耀司、川久保玲らの人気が急上昇する。デザイナーの賞味期限は10年という定説があるそうだ。

 2017年の誕生日で78歳になり、大病からの回復を機に、仕事から私生活にいたるまでの半生を包み隠さずに回想してみようと思い立つ。
 
 ――私生活、人間模様、恋愛事情……。いまだからこそ語れる意外な秘話の数々に興味を持たれる読者もいるに違いない。特に仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンによる買収劇や「ケンゾー」からの引退の舞台裏についてはずっと沈黙を守ってきた。その真相についても初めて明かそうと考えている。 (本書)

 ケンゾー・タカタ。パリの“夢”のなかに生きたファッション・デザイナーの自伝である。同時に、ファッション史の貴重な証言である。






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