稲垣えみ子◆もうレシピ本はいらない――人生を救う最強の食卓 ……☆日々の献立に苦労している主婦には不評(?)だが、一人暮らしには歓迎されそうな本

20180222

2018.02.22もうレシピ本はいらない


多くの人が「お金さえあれば安心」と思っているけれど、ことはそれほど単純じゃない。つまるところお金をいくら貯めでも安心は得られない。ましてや「自由」なんて夢のまた夢なのであります。
で、私。

 いやもう全然安心。全然自由。ハテそれはなぜなんだろうと改めて考えてみたわけです。
 で、まさかの結論に気づいてしまったのでした。

 私に自由をもたらしたのは、お金でもなく資産でもなく、特別な才能でもない。

「料理」だったんです。


 料埋ったって、なんらやら風なんとかとか、そんな手の込んだものじゃないですよ。


◆もうレシピ本はいらない――人生を救う最強の食卓 |稲垣えみ子 |マガジンハウス|2017年9月|ISBN:9784838729449|〇

 その食生活は、……。

 ――調理時間は10分でチャッチャと。
材料費は1食200円程度。
特別なスキルもセンスも不要。
ワンパターンだから「今日は何作ろう」と頭を悩ませることもなし。
「作りおき」なんてする必要性ゼロ。
(本書)
 
 1987年5月3日、朝日新聞阪神支局に赤報隊の男が侵入し、発砲、記者一人を殺害し、もう一人にも重傷を負わせた事件があった。その翌年から朝日新聞労働組合は「言論の自由を考える5.3集会」を毎年開催する。その2013年の神戸朝日ホールの集会に参加したことがある。

 その年は、コーディネーター津田大介、パネリストには安田浩一、開沼博、小田嶋隆、という顔ぶれに、本書の著者稲垣えみ子が加わっていた。当時朝日新聞論説委員だったと思う。大阪社会部デスクを経験した稲垣が、橋下徹大阪府知事(市長だったか)の記事を載せると、「なぜ橋下をいじめるのか」と電話が鳴りっぱなしになり、どう対処したものか悩ましい、という話があった。

 会場の労組のメンバーも含めて、朝日という良識の府、世論をリードすると自負するエリート記者たちは、読者の動きに当惑し、どう対処すべきか、扱いあぐねているという印象であった。当時まだ橋下は“大阪ローカル”だったから、東京からきた他のパネリストは、やや無責任な発言で朝日新聞“激励集会”の観を呈した。

 その後も2度5.3集会に参加したが、いまどき労組員がエリート臭をぷんぷんとまき散らすなんてと、会場の雰囲気に嫌気をさした記憶がある。 
 そして、稲垣えみ子『魂の退社』 (2016)を読み、朝日を退社されたことを知った。

 ――会社を辞めると宣言した時、周囲の反応は驚くほど同じであった。
まず言われるセリフが「もったいない」。〔…〕
 そして、もう一つ必ず返ってきたセリフが、「で、これから何するの?」
いや……すみません。何もしないです。
(同書)

 なにしろ朝日出身の高名なジャーナリスト、評論家はいずれも定年退職まで在籍するか、主幹とか主筆にのぼりつめた“社員ジャーナリスト”である。ノンフィクション賞受賞した某記者は、現職の朝日記者ということを著書で隠したり、ジョークのように築地の新聞社に勤務と記すなど、いじましい限りである。

 そういう朝日の体質からすれば、50歳で飛び出したアフロ記者ってなんとかっこいいんだろう。このいさぎよさを朝日の紙面は見習えばいいのに。
 (ついでに書くが、但し当方は最近の朝日に同情している。“1億総コメンテーター時代”とはいえ、姑息な安倍首相の朝日バッシングにはほとほとあきれている。卑しい官邸の面々の朝日批判には、断固闘ってもらいたい)。

2018.02.22魂の退社2

 というわけで、退社後の『魂の退社』 (2016)『アフロ記者が記者として書いてきたこと。退職したからこそ書けたこと。』(2016)『寂しい生活』(2017・これは未読)につづく4冊目『もうレシピ本はいらない』(2017)。彼女の“朝日臭”の消え方に目が離せない。

 冷蔵庫のない生活を実践し、スーパーに行かず野菜直売所を利用していると、そこに大根が登場する季節になる嬉しさに心踊ると書いていた(『魂の退社』)。
 そして本書では……。

 ――ちなみに私の最近のブームは「干し大根おろし」である。まず大根を買ってきたらベランダのザルの上にポンと放置しておく。すると当然、徐々にしんなりとしてくる。間違ってもこれを「しなびた大根」などと呼んではいけない。「干し大根」と言う。 〔…〕

 味が非常に濃い大根おろしが出来上がるのだ。
 しかも、クネクネとおろしにくいのを無理やりガシガシとすりおろすので、ゴツゴツした「鬼おろし」のようなワイルドな大根おろしになる。
 いやー、これが本当に美味いのだ。
 いやほんと、騙されたと思って是非やってみてほしい。
 (本書)

 騙されたと思って是非やってみようと思う。

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