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2018. 03. 26  
2018.03.26浅草ロック座の母


私、週刊誌やなんかで“浅草の女帝”だとか“伝説のママ”だとか書かれたり、巷でいろんな武勇伝のようなものが語られていたりしております。

  勝新太郎に20億円貸したとか、ヤクザに斬られたとか、ラスベガスにプール付きの家を何軒も持っていたとか、たけしさんに有無を言わせず映画を撮らせたとか、小向美奈子ちゃんをストリッパーにしたとか……。

 笑っちゃいますね。でも、だいだい合っております。事実のほうがもっとすごかったり、ややこしかったりするんですけどね。


 死を覚悟したことは数えきれませんし、何十億もなくしてさすがにがっかりしたこともありました。夢よりも大きなことが叶って天にも昇る思いも味わいました。


◆伝説の女傑 浅草ロック座の母 |斎藤智恵子|2017年11月|竹書房|ISBN:9784801912717|△

 斎藤智恵子(1926~2017)は、ストリップ劇場『浅草ロック座』の名誉会長。35歳で東八千代の名でストリップデビュー。踊り子兼経営者として44歳の頃には全国で20館以上の劇場を経営。

 とくに勝新太郎とは、男女の仲だと噂されるほど。勝プロの運転資金を融通をするため、所有するマンション、ラブホテル、映画館を売り払うなど、運命共同体的な付き合い。

 1997年6月の勝の死後、「新太郎はもういないけど、座頭市はなくしたくない」という思いから、勝が売却していた映画化権を買い戻し、浅草つながりで交遊のあった北野たけしに頼み込む。以下、本書。

  ――「たけしさんが主演して、監督もするのよ」
 と言ったら、
「ええ! おいらが出るの!?」
 と慌ててましたね。
 たけしさんは、なかなか首を縦に振ってくれませんでした。それでも私は諦めきれなくて、しつこく何度もお願いしました。
〔…〕

「その代わり、勝さんのようにはなりませんよ」
「いいです。好きなようにやってください」
 盲目と仕込み杖という設定以外は、たけしさんの自由に撮ってもらう約束をしました。そしたら、
「金髪でやります」
(本書)

 座頭市に関しては中村勘三郎のこんな話がある(『白く染まれ――ホワイトという場所と人々』2005)。

 勝新太郎、ビートたけし、中村勘三郎の三人で飲んでいたとき、座頭市撮ろうって話になった。勝は座頭市の監督を「たけしおまえやってくれ」と言う。たけしさん乗っちゃって、「そいじゃあ私が座頭三をやりますから、勘九郎さん座頭二をやりませんか?」だって。……と勘三郎が語っている。
 こんなこともあり、結局たけしは映画化を引き受けたのだろう。

 北野武監督、ビートたけし主演『座頭市』は、2003年9月公開され、大ヒットした。

 ――たけしさんは、映画の字幕(エンドロール) にも、ポスターにも『企画斎藤智恵子』と入れてくださいました。そういう心遣いが嬉しかったですね。(本書)

裏社会の話も語られている。2015年1月、阪神大震災。

 ――早く助けてあげなきやいけないのに、お上の対応が遅くで、もたもたしているようでした。そんな中で、神戸の極道の方たちが率先してボランティアをやっている様子が、テレビニュースに映っておりました。〔…〕

 私はそんな様子を見ていて、居ても立っても居られなくなりました。何か協力したいと思ったんです。一緒にテレビを見ていた孫に言いました。
「肌着とかおむつとかカイロとか、今から買えるだけ買っておいで。トラック用意して積めるだけ積んで、神戸に行け。私が話を通しておくから」
〔…〕

私は“弱いいものに強く出る”ヤクザ者やチンピラは大嫌いですけど“弱きを助け強きを挫く”男らしい男というのは尊敬しますし、好きですね。(本書)

 ストリップ界のゴッドマザーなので、「色気は姿勢から生まれる」という話も紹介する。

 ――美しい姿勢を保つために、胸をぐっと出すんです。胸をぐっと出すためには腰に力を入れなければいけません。
「姿勢が良ければ、身に色気がつく」
とも踊り子たちに言って聞かせてきました。本当にそうなんですよ。姿勢が悪くて色気のある女性はいません。佇まいというものです。姿勢が美しいと歩き方も騎麗になります。歩き方だけでなく、ちょっとした仕草の一つひとつに品が出たり、色っぽさが出ます。
 (本書)







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